安定供給、健全な競争環境、GX… 今後の電力政策がこの1冊に
経済産業省・資源エネルギー庁への出向経験が3度というエネルギー政策に精通した弁護士が、電力システム改革の現状や今後、GX(グリーントランスフォーメーション)時代の電力政策を深く掘り下げて解説した一冊。
著者は2021年6月、
「電気事業のいま Overview 2021」(電気新聞)を発刊。直後の3度目のエネ庁出向期間中にロシアによるウクライナ侵攻、それに伴う燃料高騰・電力卸価格高騰、新電力の相次ぐ撤退と、東日本大震災を機に行われてきた電力システム改革が岐路に立たされている状況を、政策当局者側からみてきた。
短期的な視点に立った競争の結果として電源・供給力が決定的に不足。さらに、低炭素な新規電源への投資環境を整える必要性、既設電源の低炭素化を進める必要性に迫られていた。その制度整備に携わった当事者の一人として、安定供給確保、健全な競争環境の再構築、GXへの対応を詳述している。
序章の中で筆者は、ウクライナ危機を経験したことで、電力競争政策が「短期的な視点から中長期的な視点に変わりつつあり、健全な方向へ向かっている」との認識を示す。さらに安定供給とGX、競争政策は「無視できない関係」にあり、別個に制度づくりを進めると不整合が生じるとも指摘する。
『徹底解説 GX時代の電力政策~続・電気事業のいま~』
著者:市村拓斗(森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士)
判型;新書判、356頁
ISBN:978-4-910909-12-7
発行:2024年3月
【目次】
序 章 電気事業に好循環を~筆者に聞く
第Ⅰ章 制度改革のこれまでとこれから
第2章 供給力・調整力の確保
第3章 競争環境の再構築に向けて
第4章 電力ネットワーク利用と整備
第5章 カーボンニュートラルに向けて
第6章 イノベーションの土壌
第7章 レジリエンスは永遠の課題